場所前のトピック
- 大関・貴景勝、カド番
初日 7/7(日)
カド番の大関・貴景勝は右膝の負傷の影響で、全休。昇進後僅か2場所で大関から陥落することに。来場所で10勝を挙げれば、大関に復帰できる。
遠藤 ー 栃ノ心
右でかち上げる栃ノ心だが、踏み込んだ遠藤に右の前廻しを引かれる。大関が左を差しに来たタイミングで、遠藤が体を開きながら上手出し投げ。
先場所苦しみながらも10勝を挙げて大関復帰を果たした栃ノ心だが、早くも初日に土。
北勝富士 ー 髙安
髙安は体当たりで北勝富士を弾き、左四つに組む。左下手を引き、右を固めて押っ付けながら相手に差させず、前に攻めて押し出し。
髙安は白星発進。
朝乃山 ー 豪栄道
右四つに組み、右下手を引いた豪栄道。すぐに下手投げを打つが、朝乃山を呼び込んでしまい先に上手を取られる。
上手を引いて前に寄り立てる朝乃山だが、豪栄道は半身になりながら土俵際で右から掬って上手を切る。
朝乃山は大関の投げに合わせて左足を踏み込んで足場を崩し、バランスを崩した豪栄道の右を差して寄り切り。
朝乃山は先場所の勢いそのままに、初日から大関相手に白星。
阿炎 ー 白鵬
両手突きから右の喉輪で白鵬を押し込む阿炎。白鵬は右腕を手繰りながら左に動いていなすが、引いて少し呼び込む格好に。
阿炎は右上手を引いて回り込みながら投げを打とうとしたが、横綱は相手の頭が下がりすぎているのを見逃さずに叩き込み。
白鵬はやや攻め込まれる場面はあったが、休場明けの初日は白星。
鶴竜 ー 竜電
立合いで左を差した鶴竜。右差しは竜電に押っ付けられて阻まれるも、右の上手を引いて寄り切り。
鶴竜は万全の相撲で幸先の良いスタートを切った。
中日まで 〜7/14(日)
- 大関・栃ノ心は右膝の負傷が悪化し、6日目から休場。
- 大関・豪栄道も右肩の負傷が悪化し、中日から休場。共に来場所はカド番となる。
3大関が休場する場所を引っ張るのは両横綱。鶴竜、白鵬の2人が全勝ターンを決めた。
一敗は大関陣の中で唯一出場している髙安。二敗で4人が並ぶ。
鶴竜は序盤こそ引く癖が出てしまったが、立合いで踏み込んでから相手を押し込み、4日目の阿炎戦では一気に突き出し、5日目の碧山戦では左上手を掴んで出し投げで下した。また、7日目も正代戦でも踏み込んですぐに左四つ右上手を引いて一気に寄り切り。徐々に安定感を増してきた。
もう一人の横綱・白鵬は、2日目の朝乃山戦では右四つに組み渡り、初顔の相手に格の違いを見せつける上手投げで勝利。しかし、それ以外でがっぷり四つに組んだ相撲は4日目の竜電戦のみ。横振りの張り手や叩き、引き技を多投し、8番中4番が叩き込みや引き落とし。同じ全勝の鶴竜よりもバタバタした相撲内容。
髙安は2日目の竜電戦で取り直しの末寄り切られて敗れた1敗で収めている。しかし、一旦相手の攻めを凌いでから押し返したり、叩いて勝負を決める相撲が続き、立合いの体当たりで吹き飛ばすような本来の相撲は見られない。
9日目 7/15(月)
正代 ー 髙安
立合いの当たりは互角。正代は左を脇の下にあてがって押し込んだが、髙安は振りほどいて右四つに。
腰高ながら一気に走って寄り立てる高安だが、土俵際で正代が逆転の左突き落とし。
髙安は攻め急いで2敗目。
逸ノ城 ー 白鵬
白鵬は右を差すが、逸ノ城に左上手を引かれる。白鵬は両差しを狙うも、逸ノ城は右から押っ付けて阻みながら前へ攻める。
窮屈になった横綱が左腕を抜くと同時に逸ノ城は右前廻しもガッチリ引き、200キロ超えの体を預けながら寄り切り。
不安の残る相撲が続いていた白鵬は、今場所初黒星。逸ノ城は8個目の金星獲得。
鶴竜 ー 明生
踏み込みと同時に右前廻しを引いた鶴竜。左下手も引いて外掛けを交えながら寄り切り。
鶴竜は危なげない相撲を取って、ただ一人9連勝。
白鵬が敗れたため、鶴竜が全勝で単独トップに立った。
白鵬は一敗に後退。二敗で髙安ら4人。
11日目 7/17(水)
前日の明生戦で勝ち越しを決めた大関・髙安だが、中日の玉鷲戦で左肘を負傷し、休場。これで4大関全員が休場となった。
対戦相手の横綱・白鵬は不戦勝で10勝1敗。
鶴竜 ー 琴奨菊
立合いで左四つに組むと、琴奨菊ががぶって寄り立てる。鶴竜は左上手、右下手を引いて凌ぎ、上手から振って土俵中央に戻す。
琴奨菊は右上手を切るも、横綱が右喉輪で突き起こし、胸を押して突き倒し。
鶴竜は攻め込まれたものの落ち着いて捌き、11連勝。
全勝で鶴竜、一敗で白鵬の並びは変わらず。二敗も平幕の2人となり、賜杯争いは両雄一騎打ちの様相に。
12日目 7/18(木)
鶴竜 ー 千代大龍
踏み込んですぐに右上手を引いた鶴竜。上手から振って、右足を飛ばして裾払い。
鶴竜は自身初めて初日からの12連勝を記録し、全勝を守った。
御嶽海 ー 白鵬
二本のぞかせた御嶽海だが、白鵬は両上手を引いて挟み付け、外四つの体勢に。
1分間組んだまま一歩も動かず、白鵬は体重をかけながら両者棒立ちに。御嶽海は体力を消耗して攻め手を失い、横綱が両上手を充分に引き付けて寄り切り。
白鵬は1分半を超える相撲を制して、一敗をキープ。
鶴竜と白鵬の星の差1つは変わらず、残り3日間へ。
13日目 7/19(金)
妙義龍 ー 白鵬
白鵬は右を差しに行くが、妙義龍が右に叩いていなす。
両差しを狙って飛び込んだ妙義龍だが、横綱は左から小手に振り、右で相手の首を巻いて極めながら前へ攻める。
残されたものの、白鵬は右で妙義龍の首を捻りながら左からの小手投げ。
白鵬は差すことは出来なかったが、12勝目を挙げて一敗を譲らず。
鶴竜 ー 友風
左足から踏み込んで低く当たった鶴竜。友風はまともに引いたが、土俵際で体を右に開いて叩き込み。
攻め急いで相手の叩きについていけなかった鶴竜は、ついに初黒星。全勝を止めた友風は、史上最速タイの初土俵から14場所目での初金星を達成。
鶴竜が敗れたため、中日以来両横綱が先頭に並び立った。
二敗で照強も追い縋っているが、平成25年九州場所(白鵬 ー 日馬富士)以来の千秋楽相星決戦の可能性が高まった。
優勝争いは千秋楽までもつれる展開に。
14日目 7/20(土)
鶴竜 ー 御嶽海
頭から当たって左下手を引き、右の下手を探る鶴竜。御嶽海は両手から喉輪で距離を取ろうとするが、横綱は下手を放して左から張って相手の顔を背けさせ、右を差し込む。
左前廻しも引いた鶴竜は、引き付けながら前に出て寄り切り。
鶴竜は土俵下で出番を控える白鵬に先んじて13勝目を挙げ、先頭に立った状態で千秋楽へ。
琴奨菊 ー 白鵬
白鵬は左から踏み込んで押っ付けながら右差しを封じるが、琴奨菊は左前褌を引く。
左の上手を引いた横綱だが、琴奨菊は左も差して両差しに。琴奨菊の一気の出足に白鵬は残すことができず、寄り切り。
白鵬は通算56勝5敗とカモにしていた相手に、痛恨の2敗目。相星決戦には持ち込めず。
琴奨菊は白鵬から初金星。
14日目を終えて、一敗で鶴竜、二敗で白鵬。優勝の可能性を残しているのは両横綱のみ。
鶴竜は本割で勝てば優勝が決定。白鵬は逆転優勝するためにも、まずは勝って決定戦に持ち込みたい。
千秋楽 7/21(日)
鶴竜 ー 白鵬
鶴竜が勝てば優勝決定。白鵬が勝てば決定戦へ。
立合いで左にズレながら左上手を引いた白鵬。右四つから鶴竜は左を巻き替えて両差しになるが、再度白鵬が巻き替えて右四つに。
鶴竜は右下手から振りながら、もう一度左を巻き替えて両差しを狙う。しかし、白鵬は右を固めて巻き替えを許さずに再度右四つの展開。
三度左の巻き替えにいく鶴竜。今度は左差しを成功させ、右の差し手を抜いて上手を引き、左四つがっぷりの体勢。
白鵬は前に出ながら左の腕を返して上手を切るが、鶴竜はすぐに右を差して両差しの格好。勝機と見た鶴竜は、両下手を引き付けて前に寄り立てる。白鵬は両上手を掴むも、深すぎたため残せずに寄り切り。
鶴竜が手に汗握る横綱対決を制し、決定戦に持ち込ませず、七夕の短冊に書いた「V6」を達成した。
総括
【優勝】 横綱・鶴竜 力三郎(6回目)
鶴竜が14勝1敗で、7場所ぶり6回目の優勝。 名古屋場所での優勝は初。
【三賞】
《技能賞》
2大関(初日:栃ノ心、7日目:豪栄道)を倒した遠藤(3回目)
小兵旋風を巻き起こし、入幕後初めて勝ち越した炎鵬(初)
《殊勲賞》
1横綱(13日目:鶴竜)を倒して、11勝を挙げた友風(初)
《敢闘賞》
12勝を挙げて、入幕後初めて勝ち越した照強(初)
来場所は、
大関・豪栄道、大関・栃ノ心、カド番。
大関から陥落した貴景勝、大関復帰を狙う。
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