令和2年十一月場所(2020年)

会場:国技館 大相撲

初日   1/10(日)

感染症の影響により、通常開催地の福岡ではなく、東京・国技館での開催。

なお、白鵬は右膝の負傷、鶴竜は右肘痛の影響で両横綱共に全休。

正代 ー 若隆景

新大関・正代の初日の相手は、初顔の若隆景。

右で押っ付けながらスッと二本入ったのは、初めて上位挑戦の場所となった若隆景。
絶好の形になった若隆景は、正代の右の突き落としにも落ちずにどんどん走って攻める。
俵沿いに後退するだけの正代だったが、土俵際で倒れ込みながら捨て身の右突き落とし。

物言いがついたが、若隆景の足が早く返っていたため、正代の勝ち。

正代は苦しい取組ではあったが、大関として最初の相撲を白星で飾った。

霧馬山 ー 朝乃山

踏み込んですぐ右四つに組み止めた朝乃山。その勢いのまま前へ圧力をかけながら寄り切り。

朝乃山は完勝で白星スタート。

貴景勝 ー 髙安

立合いで当たり勝ったのは貴景勝。下から突き起こしながら髙安の上体を浮かせて、一気に押し出し。

貴景勝も万全の相撲で1勝目。初日は3大関安泰となった。

中日まで   〜1/17(日)

大関・朝乃山は初日の取組で右肩を負傷し、3日目から休場。

新大関・正代も3日目の髙安戦で右足首を負傷し、5日目から休場。共に来場所はカド番となる。

唯一出場している大関の貴景勝は、重い突き押しが冴え渡り、ただ一人の勝ちっ放し。
3日目の霧馬山戦こそ四つに組んで危ない相撲だったが、突き押しで一気に持っていく相撲はもちろん、左からの突き落としで相手を崩して勝つ相撲もあり、相手がよく見えている。

次点で一敗は、三役まで番付を戻した小結・照ノ富士、宝富士、東前頭17枚目の志摩ノ海の3人。
照ノ富士は2日目に朝乃山を上手投げで投げ飛ばすなど、初日から7連勝。

9日目   1/18(月)

貴景勝 ー 翔猿

頭から強く突き起こすのではなく、小刻みな突っ張りで翔猿の動きを見ながら攻める貴景勝。
翔猿も突っ張りで応戦する中で、貴景勝は引いてしまう。そこを翔猿に押し込まれ、貴景勝が攻め返そうとしたところを叩き込まれてバッタリ。

貴景勝は先場所優勝争いを繰り広げた小兵相手に初黒星。これで勝ちっ放しが消えた。

全勝はいなくなり、一敗で貴景勝、宝富士、志摩ノ海の3人が並ぶ。
二敗で髙安に敗れた照ノ富士、竜電、千代の国。

12日目   1/21(木)

11日目を終えて、一敗は貴景勝、志摩ノ海の2人。
その2人を星の差1つの二敗で照ノ富士、竜電が追いかける展開。

竜電 ー 志摩ノ海

竜電は左下手を引いて組み止めようとしたが、志摩ノ海に切られて押し込まれる。
左をのぞいて凌ぎ、再度差し込もうとするが、志摩ノ海は頭を付けて右から押っ付けながら徹底して竜電の左差しを封じる。竜電は突き起こしながら左を強引にねじ込んだが、同時に志摩ノ海は左下手を引き、すぐに出し投げ。左に意識が集中した相手を逆側から下手出し投げで崩して放り投げた。

志摩ノ海は不得手の四つ相撲でも鮮やかなワザを魅せて、1敗を守った。竜電は3敗目。

御嶽海 ー 照ノ富士

立合いで左前廻しと右下手を引いた照ノ富士は、もう万全。左を引き付けて、右は腕を返しながら一気に寄り切り。

照ノ富士は完勝で二桁に乗せる10勝目。

貴景勝 ー 宝富士

立合いのぶちかましで宝富士を土俵際まで押し込んだ貴景勝。上体が浮いた相手を難なく押し出し。

貴景勝は会心の相撲で11勝目を挙げ、志摩ノ海とトップを並走。

明日一敗同士の直接対決が組まれたため、優勝争いは、一敗の両者と、二敗の照ノ富士、三敗の竜電の4人に絞られた。

13日目   1/22(金)

照ノ富士 ー 竜電

竜電が両差しになるが、照ノ富士も外四つながら両上手を引く。
両下手を引き付けながら上手を切りに行く竜電だったが、照ノ富士は右上手を自ら放して相手の左手首を抑えつけ、竜電の左下手を切る。
その瞬間照ノ富士が左上手から出し投げを打ち、上手は切れるものの追っ付けながら前へ出て押し出し。

相撲勘の良さを発揮した照ノ富士が2敗をキープ。敗れた竜電は優勝の可能性が消滅。

貴景勝 ー 志摩ノ海

優勝争いを占う一敗同士の注目の一番。

貴景勝はいつものように立合いで頭から当たり、突っ張って早々に志摩ノ海を土俵際まで押し込む。
志摩ノ海も頭を上げずに右から押っ付けて耐える。貴景勝が左から突き落とすが、志摩ノ海は落ちずに大関の突っ張りを右から再度追っ付けて前へ出ようとする。
そのタイミングで貴景勝は右に動きながら叩いていなすと、志摩ノ海を俵に詰まらせてそのまま押し出し。

一敗を守ったのは大関の貴景勝。攻め手を欠いた志摩ノ海は2敗目。

結びの一番を制した貴景勝が、再び単独トップに立った。
星の差1つの二敗で照ノ富士、志摩ノ海が追いかける。なお、照ノ富士は貴景勝との取組を残しているため、自力優勝の可能性は残っている。
明日二敗同士の取組が組まれたため、優勝争いは千秋楽まで持ち越し。

14日目   1/23(土)

照ノ富士 ー 志摩ノ海

立合いからすぐに右前廻しを引いた照ノ富士。志摩ノ海は左押っ付け、右ハズ押しで上手を切ろうとするが、照ノ富士は頭を付けながら更に体勢を低くして、廻しを放さない。
照ノ富士は左から絞って相手の右を殺しながら前へ出ていき、最後は左上手も引いて寄り切り。

照ノ富士が二敗を守り、自力優勝の可能性を残して千秋楽へ。志摩ノ海は3敗目となり、明日貴景勝と照ノ富士が組まれたため、この時点で優勝争いから脱落。
優勝争いは貴景勝、照ノ富士の2人に絞られた。

貴景勝 ー 御嶽海

照ノ富士をリードしたまま明日を迎えたい貴景勝。

頭でぶちかましながら突き起こす貴景勝。
御嶽海は突っ張りを跳ね上げて堪えるが、大関の圧力を受けて引いてしまう。その引きに乗じて貴景勝が一気に押し込んで突き出し。

貴景勝は対戦成績が五分の相手に快勝し、首位をキープして千秋楽へ。

千秋楽は一敗の貴景勝、二敗の照ノ富士が激突。
貴景勝は本割で勝てば大関としての初優勝が決まる。照ノ富士は二敗に引きずり下ろして決定戦に持ち込み、逆転優勝を狙う。

千秋楽   1/24(日)

貴景勝 ー 照ノ富士

貴景勝が勝てば優勝。照ノ富士が勝てば決定戦。

照ノ富士は組み止めにいくが、貴景勝は下から突き押して跳ね返す。
照ノ富士は左で張って前に出ながら捕まえに行くが、貴景勝が叩いていなし、バランスを崩す。
そのスキを押し込んで勝負に出た貴景勝だが、密着しそうになり自ら後ろに下がって距離をとる。
再度頭から当たろうとした大関だが、照ノ富士が左から張って、右を差して捕まえる。
左も差して右の廻しを引きながら、切り返し気味に自分の体重をかけて浴びせ倒し。

照ノ富士は貴景勝を引きずり下ろして13勝目。大関復帰の起点としても充分な勝ち星を上げた。

結びの一番の結果、貴景勝と照ノ富士が13勝2敗で並んだため、優勝決定戦へ。

優勝決定戦

貴景勝 ー 照ノ富士

優勝決定戦での両者の顔合わせは、初。

貴景勝が頭から突き起こし、照ノ富士を大きく後退させる。
再度頭から当たって低い位置から突き起こすと、上体が伸び切った照ノ富士は残すことが出来ずに押し出し。

突き起こして相手に組ませなかった貴景勝が、丸2年ぶり、大関としては初めての優勝を掴んだ。

総括

優勝】 大関・貴景勝 光信(2回目)

貴景勝が13勝2敗で、11場所ぶり2回目の優勝。 十一月場所での優勝は2回目。

【三賞】 

 《技能賞
  千秋楽まで優勝争いを演じた若隆景(2回目)。
 敢闘賞
  返り入幕で激しい突き押し相撲を取った千代の国(2回目)。     
  前頭17枚目ながら14日目まで優勝を争った志摩ノ海(2回目)

来場所は、
13勝を挙げて優勝した大関・貴景勝綱取り挑戦へ。

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