この記事は、場所ごとの優勝争いの行方についてまとめたものです。
臨場感たっぷりにお届けします!
場所前のトピック
- 大関・正代、カド番
初日 5/9(日)
2場所ぶりの開催となった夏場所。
横綱・白鵬は右膝の手術の影響により、全休。
明生 ー 照ノ富士
平成29年九月場所以来、21場所ぶりに大関復帰を果たした照ノ富士の初日の相手は明生。
立合いから両差しを狙う明生。狙い通り左を差し込んで右は浅くのぞくが、左を抱え込んで両腕を極めにいく照ノ富士。
それを嫌って右の差し手を上手に変えた明生だが、大関はそれを許さずに再度両腕を極める。
身動きが取れなくなった明生をそのまま寄り立てて、極め出し。
照ノ富士は平成29年九月場所 3日目以来に大関での白星をあげた。
正代 ー 北勝富士
二本のぞかせた正代だが、突き放しながら右からのおっつけで間を取る北勝富士。
左からもおっつけていく北勝富士だが、正代の右からの突き落としについて行けず。
正代はカド番脱出に向けて、まずは1つ目の白星を挙げた。
若隆景 ー 貴景勝
立合いで低く当たってきた若隆景を突き起こす貴景勝。その勢いのまま突っ張って、一気に押し出し。
朝乃山 ー 大栄翔
大栄翔が立合いから右の喉輪で、朝乃山を鋭く突き起こす。
もう一度右からの喉輪で一気に勝負を決めに行ったが、朝乃山が踏ん張ってその突きを外し、左から回り込んで送り出し。
2連敗中の相手に攻め込まれはしたが、白星を手にした。これで4大関全員が白星スタート。
中日まで 〜5/16(日)
勝ちっ放しは最大関の照ノ富士、ただ一人。先場所同様四つに組み止める安定した相撲で勝ち越し。
続いて1敗は貴景勝。2日目の御嶽海戦では引いて墓穴を掘ったが、相手をよく見て突き起こす相撲が冴えている。
2敗は大関復帰への足固めを狙う関脇・髙安や、2大関(2日目:貴景勝、中日:正代)を破った小結・御嶽海など7人が並ぶ。
大関陣は、朝乃山が4勝4敗。カド番の正代が5勝3敗。
9日目 5/17(月)
髙安 ー 照ノ富士
髙安が立合いで二本のぞくと、照ノ富士は両腕を抱え込んで組止めにいく。それを許さない髙安は突っ張って距離を取り、照ノ富士に差させない展開へ。
お互い差し手争いの中、髙安が照ノ富士の頭を押さえつけてバランスを崩し、右を差して返しながらすくい投げを打って上体を起こす。
そこを勝機とみて前に出て攻めたが、照ノ富士が土俵を割りながら捨て身のはたき込み。
物言いがついたが、照ノ富士が土俵を飛び出す前に髙安の左手がついていた。
照ノ富士は4連敗中の天敵相手に辛勝し、9連勝。髙安は3敗に後退。
大栄翔 ー 貴景勝
互いに頭からぶちかます立合い。
再度ぶちかまし合い、大栄翔が突っ張ろうとするところを、貴景勝が左から突き落としていなす。
そこを貴景勝は突き起こして攻めようとするが、今度は大栄翔が左に動いていなし返す。
上体が浮いた大関は、そのスキを突いた大栄翔の突っ張りを受けきれずに押し出し。
貴景勝は、3勝5敗と調子がいまひとつな小結相手に痛い2敗目を喫した。
貴景勝が敗れたため、優勝争い先頭の照ノ富士と後続の差は2差に開いた。
なお、2敗力士は貴景勝、御嶽海と平幕3人。
10日目 5/18(火)
朝乃山 ー 御嶽海
御嶽海は突き放していくが、朝乃山は右を差して四つに組止める。右からすくい投げで振りながら左上手も引いて、大関の万全の形に。
上手投げで揺さぶりながら、御嶽海に攻め返す機会を与えずに寄り切り。
朝乃山が力強い相撲を見せて6勝目。御嶽海は3敗目。
霧馬山 ー 照ノ富士
立合いで当たった瞬間に左四つになり、照ノ富士は右の上手も引いて万全な形に。
右から出し投げを打って霧馬山の下手を切り、横に向かせてから左の喉輪でとどめを刺して寄り切り。
得意の形になっても慎重に理詰めの相撲を展開した照ノ富士は、怒涛の10連勝。
阿武咲 ー 貴景勝
ぶちかまし合う立合いになったが、貴景勝の方が当たり勝ち、圧力をかけて押し込む。阿武咲は突っ張るが、更に貴景勝が低く当たって押し込む。
たまらず引いた阿武咲に足を運んでついていき、そのまま押し出し。
連敗はしなかった貴景勝が勝ち越しを決めて、照ノ富士との差は2つのまま。
全勝の照ノ富士を追う2敗の力士は貴景勝、平幕の遠藤の2人に。
11日目 5/19(水)
髙安 ー 貴景勝
髙安が貴景勝の当たりを受け止め、回転のある突っ張りを繰り出して攻め返す。その突きに対して、貴景勝は一歩も下がらずに腕を下から跳ね上げてしのぎ切る。
攻めきれなかった髙安が引いたところを、再度貴景勝が押し込む。
大関の圧力に耐えきれなかった髙安は後ろを向いてしまい、送り出し。
貴景勝は2敗をキープ。来場所以降大関再昇進を狙う髙安は4敗目。
妙義龍 ー 照ノ富士
妙義龍に両差しになられるも、左上手を引いた照ノ富士。上手は切れるが、相手の右の差し手を左から抱え込む。体を開きながら右で頭を抑えつけて、左からの小手投げで妙義龍を転がした。
照ノ富士が11勝目を挙げたかと思われたが、小手投げを打った際に右手が妙義龍の髷を掴んでいたため、まさかの反則負け。
優勝争い独走の気配が漂い始めた照ノ富士に、思わぬ形で今場所初めての土がついた。
照ノ富士が1敗になったことで、2敗を守った貴景勝、遠藤との星の差は1つに縮まった。
なお、3敗力士は平幕の逸ノ城、隠岐の海。
12日目 5/20(木)
琴恵光 ー 遠藤
喧嘩四つの両者の取組み。
右からの張り差しで、得意の右四つに差し勝ったのは琴恵光。左上手も引きながら煽るように攻めたてて、遠藤は残れず寄り切り。
遠藤は3敗目を喫し、優勝争いから大きく後退。
逸ノ城 ー 貴景勝
右を差しに来た逸ノ城を、貴景勝は突き押しで距離を取る。それでも逸ノ城は右差しを狙いながら前に押し込み、その圧力を受けて後退する大関。
逸ノ城のはたきに貴景勝の膝が入る場面もあったが、なんとか持ちこたえ、張り手を交えながら突き押しで応戦する。逸ノ城が引いてきたところを、貴景勝はそれに乗じて一気に押し出し。
貴景勝は2桁に乗せる10勝目。逸ノ城は4敗目となり、優勝の可能性は消えた。
阿武咲 ー 照ノ富士
照ノ富士は相手の突き放しを受け止めて、右上手、左前みつを引いて盤石の体勢に。
阿武咲を懐に入らせず、引き付けながら寄り立てて、最後は左を深く差しながら寄り切り。
照ノ富士は先日のもどかしい敗戦を引きずらず、先場所敗れた相手に完勝して11勝目。1敗を守った。
優勝争いは照ノ富士、貴景勝、遠藤の3人に絞られた。
なお朝乃山は、場所前の不祥事が発覚したため休場に。7勝5敗のため来場所はカド番となる。
13日目 5/21(金)
逸ノ城 ー 照ノ富士
右四つに組み渡り、互いに下手を引いて、左の上手を探る展開。逸ノ城が強引に前に出てきたところを、大関が逃さずにがっちりと左上手を引く。
逸ノ城の上手を遠ざけながら引き付けて前進し、寄り切り。
照ノ富士は12個目の白星を手にして、単独トップを譲らず。
正代 ー 宝富士
7勝5敗の正代。
正代は左を差し、右は固めながら相手の差し手を封じる。宝富士が左をねじ込もうとしたところを、正代が一気に攻めて寄り切り。
正代は勝ち越しを決めて、カド番脱出。
遠藤 ー 貴景勝
立合いから貴景勝が一気に押し込み、防戦一方の遠藤。
俵まで追い込み、勝負を決めようと再度頭から当たっていった貴景勝だったが、遠藤がひらりと右にかわして突き落とし。
あと一歩のところで土俵下へ転落した貴景勝は、痛恨の3敗目。勝った遠藤は優勝争いに踏みとどまった。
これで2敗力士はいなくなり、先頭を走る照ノ富士と後続との星の差は2つに広がった。
そのため、明日(14日目)にも照ノ富士が勝てば、優勝が決定。
14日目 5/22(土)
遠藤 ー 照ノ富士
この一番に勝てば優勝が決まる照ノ富士。
立合いから両差しになり、照ノ富士の懐に入り込んだ遠藤。大関に抱え込まれないよう、肘を張りながら休まずに前に攻めていく。
照ノ富士は土俵際でなんとか凌ぐが、遠藤は更に右の差し手を深くして横に食いつき、再度攻め立てる。照ノ富士は左からの小手投げで逆転を狙うが、遠藤が右からの外掛けで封じに行く。
しかし外掛けに対して、照ノ富士は足を掛け返しながら小手投げを打ち続けるが、遠藤も右から下手投げを打ち返して両者体が落ちた。
軍配は照ノ富士に上がったが、遠藤の体が返るよりも先に照ノ富士の右肘が付いていた。
照ノ富士は際どい相撲を落とし、今日の優勝決定はならず。遠藤はまさに技巧派の本領発揮で3敗をキープ。
正代 ー 貴景勝
負ければ優勝の可能性が無くなる貴景勝。大関同士の一番。
反り腰で立合う正代に対して強く押し込み、圧力を伝えた貴景勝。腰高のまま攻め返そうとした正代を、タイミングよく左からの突き落とし。
連敗はしなかった貴景勝も3敗を守って千秋楽へ。正代は8勝6敗。
優勝争いは、星の差1つのまま千秋楽までもつれる展開へ。
照ノ富士は今日と同じく、本割で勝てば優勝。
貴景勝は自力で照ノ富士を引きずり下ろして、優勝決定戦へ持ち込めるか。遠藤はまずは正代に勝って、巴戦の可能性にかけたい。
千秋楽 5/23(日)
正代 ー 遠藤
昨日と同じく立合いから両差しになった遠藤。正代は右から小手投げを打って凌ぐが、遠藤が差出を突きつけて寄り立てる。
しかし、踏ん張った正代が左からのはず押しで遠藤の上体が起き上がらせ、体を入れ替えて押し出し。
遠藤は3日連続の大関撃破とはならず、優勝争いから脱落。賜杯の行方は、結びの一番で対戦する両大関に絞られた。
勝った正代は、最後に大関の意地を見せて9勝6敗。
照ノ富士 ー 貴景勝
本割の一発で優勝を決めたい照ノ富士。決定戦へ持ち込んで逆転優勝を狙う貴景勝。
立合いで低く当たり、照ノ富士を跳ね上げる貴景勝。
照ノ富士がまわしを狙いに来たところを、いつもとは逆の右からの突き落としで土俵に這わせた。
この結果、貴景勝と照ノ富士が12勝3敗で並んだため、優勝決定戦へ。
【優勝決定戦】
貴景勝 ー 照ノ富士
優勝決定戦での両者の顔合わせは、令和2年11月場所以来、2度目。
今度は差しに行かず、右からのかち上げを選択した照ノ富士。見合った後に貴景勝が突き起こしにくるところを、右へかわして上手を狙いに行く。
まわしは取れなかったが再度見合い、再び貴景勝が突き放しにいくが、腕が伸びきる前に照ノ富士は右をのぞかせる。貴景勝はそれを嫌って引いて距離を取り、お互いがまた見合う格好に。
俵に足がかかった貴景勝が頭からぶちかまして反撃しようとしたタイミングで、照ノ富士が頭を抑えつけて叩き込み。
照ノ富士が過去3戦全敗だった決定戦を初めて制し、3場所前の雪辱を晴らして2連覇達成。大関としての初優勝を飾り、来場所は綱取り場所となる。
総括
【優勝】 大関・照ノ富士 春雄(4回目)
照ノ富士が12勝3敗で、2場所連続、4回目の優勝。 夏場所での優勝は2回目。
【三賞】
《技能賞》
2大関(2日目:正代、3日目:朝乃山)を倒した若隆景(2回目)。
決定戦出場の両大関に勝利し、千秋楽まで優勝争いを演じた遠藤(8回目)。
来場所は、
12勝を挙げて優勝した大関・照ノ富士が綱取り挑戦へ。
先場所10勝、今場所10勝を挙げた関脇・髙安が大関取り挑戦へ。
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