令和3年七月場所(2021年名古屋場所)

会場:ドルフィンズアリーナ(愛知県体育館) 大相撲

この記事は、場所ごとの優勝争いの行方についてまとめたものです。
臨場感たっぷりにお届けします!

場所前のトピック

  • 横綱・白鵬、進退をかけて出場
  • 大関・照ノ富士、横綱昇進に挑戦
  • 関脇・髙安、大関再昇進に挑戦

初日   7/4(日)

令和2年三月場所以来の地方場所での開催。

注目は6場所連続休場中の白鵬と、先場所の優勝力士である照ノ富士。
横綱の地位を守るのか、それとも世代交代が進むのか。新横綱が誕生するのか。

13勝以上で大関再昇進の可能性もあった関脇・髙安だったが、腰痛のため休場。場所後の大関復帰は厳しくなった。

カド番の大関・朝乃山は出場停止のため、場所後の関脇陥落が決定的。

照ノ富士 ー 遠藤

初日の相手は、先場所の取組で黒星を喫した遠藤。

立合いから遠藤の両差しを封じ、四つに組み止めようとする。遠藤の前捌きの前に差すことはできなかったが、左から抱え込み、最後は左上手を引いて寄り切り。

綱取りに向けて幸先の良いスタートを切った。

白鵬 ー 明生

右膝の手術から復帰し、春場所2日目以来の土俵に上がる白鵬は、小結に躍進した明生との対戦。

右からの張り差しで左四つがっぷりに組み止め、一安心と思われた横綱。
ところが、明生の寄りに対してジリジリと後退。なんとか踏ん張るも再度寄りたてられ、明生が右からの外掛けで勝負に出る。しかし、その外掛けに対して左足で掛け返し、掛け投げで新三役の挑戦を退けた。

丸14年横綱を務めた経験の差で相手を上回り、白星発進。

なお、正代は隆の勝、貴景勝は大栄翔にそれぞれ勝利。両大関共に白星スタート。

中日まで  〜7/11(日)

全勝は白鵬、照ノ富士の2人。一敗力士はおらず、二敗で平幕の玉鷲、琴ノ若、一山本。
早くも賜杯レースは、白鵬、照ノ富士と注目の力士同士のマッチレースの様相。

白鵬は右で張りながら離れて取る相撲が目立ち、51度目の中日勝ち越しを決めながらも安定感に欠けている。特に、6日目の隆の勝戦では後ろを取られる場面もあった。しかし、中日の琴恵光戦では立合いから左上手を取って寄り切り、盤石の内容で白星。

一方の照ノ富士は、押し相撲や中に入るとうるさい相手との取組が続いたが、不利な体勢から強引に出ず、じっくり相手を見ながら組み止める相撲を見せてきた。綱取りのプレッシャーを微塵も感じさせず、同じ星数の白鵬よりも万全な相撲内容で給金。

大関陣は、貴景勝は二日目の逸ノ城戦で首を負傷し、途中休場。正代は4勝4敗の五分。

関脇・髙安は三日目から出場し、4勝2敗2休。来場所以降に大関取りを繋げるためには、もう負けられない星数となった。

12日目   7/15(木)

9日目、10日目と千代大龍、隠岐の海をそれぞれ盤石の四つ相撲で退けた白鵬と照ノ富士。

11日目も白鵬は新三役の小結・若隆景、照ノ富士は関脇・御嶽海を圧倒し、共に11戦全勝で迎えた12日目。

照ノ富士 ー 明生

立合いから組み止めにいくが、明生は捕まらないように離れる展開。
それでも照ノ富士は前へ圧力をかけていき、明生が左を差しにきたところを抱え込む。そのまま土俵際まで追い込み、最後は両腕を極めて極め倒し。

照ノ富士は落ち着いた相撲内容で、自身最高の12連勝。

白鵬 ー 御嶽海

尻上がりに調子を上げてきた白鵬。
右からの張り差しで右四つに組み止め、下手投げで揺さぶりながら上手を探る。御嶽海が上手を求めて体を寄せてきたところで、白鵬が左上手を引いてそのまま寄り切り。

実力者を全く問題にせず、進退問題などどこ吹く風で12連勝。

なお、千秋楽で白鵬と照ノ富士がほぼ確実に組まれるため、3敗の玉鷲、琴ノ若の優勝の可能性は消滅。優勝争いは2人に完全に絞られた。

13日目   7/16(金)

照ノ富士 ー 正代

今場所唯一の大関同士の一番。

正代は立合いで左を差し、すくい投げを打つ。照ノ富士は体勢が崩れるも、土俵際でなんとか持ち堪える。
攻めきれなかった正代が引いたところをよく見ながら攻め返し、右四つに組んで最後は離れるも押し出し。

照ノ富士はヒヤリとする場面も見せたが、横綱昇進が当確となる13勝に乗せた。敗れた正代は7勝6敗。

白鵬 ー 髙安

右から張って髙安の体当たりを受け止める。その瞬間髙安の右腕を手繰り、とったりで転がした。

白鵬も照ノ富士にピタリと並走する13連勝。髙安は7勝4敗2休となり、大関取りへの道が苦しくなった。

14日目   7/17(土)

照ノ富士 ー 髙安

立合いから激しい差し手争いとなる中、髙安が右をのぞかせる。これを嫌う照ノ富士はいなして、離れながらの攻防へ。
髙安が引いたところを照ノ富士が逃さずに突き上げ、上体が浮いた髙安の左上手を引いて寄り切り。

照ノ富士は合口の悪い天敵相手に、自己最多の14勝目を挙げた。髙安は7勝5敗2休で、大関取りはふりだしに戻った。

白鵬 ー 正代

立合いで仕切り線から大きく離れ、二字口の手前まで下がって腰を下ろす白鵬。
様子を見ながら前に出る正代を、左で張って右から追っ付け。間が空いたところ、今度は右から強烈な張り手を見舞い左上手を狙うが、正代が嫌って距離をとり、両者見合う格好に。
再度左から張って右を差した横綱が、土俵際まで寄って浴びせ倒し。

白鵬は奇策を繰り出して、14個目の白星を手にした。正代は7勝7敗。

これで千秋楽は、史上6度目、平成24年七月場所(白鵬 ー 日馬富士)以来の14戦全勝同士の相星決戦に。
復活場所を16回目の全勝優勝で飾るか、それとも横綱昇進を初の全勝、3連覇で華を添えるか。

千秋楽   7/18(日)

正代 ー 髙安

勝った方が勝ち越しの一番。

髙安が左の浅い上手を引くが、正代が二本のぞかせて前に圧力をかける。髙安は右を巻き替えに出るが、上体が浮いてバランスを崩してしまい、そこを正代が送り出し。

正代は来場所のカド番をなんとか回避した。髙安は大関取りどころか、負け越しとなり関脇陥落。序盤2日間の休場が大きく響いた。

白鵬 ー 照ノ富士

勝者がもちろん今場所の優勝力士となる、千秋楽結びの大一番。

それを象徴するかのように互いに激しく睨み合い、なかなか手を下ろさない。
両手を先に付いて待つ照ノ富士に対して、白鵬が右、左と手をついて立合うと左手を前に出して、左上手を狙う大関の顔面を右肘で強烈に打ち付けるかち上げ。それでも怯まずに上手を掴みかける照ノ富士だが、白鵬は間を取りながらそれを許さず。そこから白鵬が右から張ると、続けて左で張るタイミングで照ノ富士も右から張り返す。
再度白鵬が左から張ると、照ノ富士も右から張り返すが、そのスキを逃さずに白鵬が右四つ左上手に組み止める。照ノ富士に上手を取らせないよう上手投げを打って、右肘を極める格好。休まずにその腕を強引に振って、最後は小手投げで照ノ富士を転がした。

場所前の進退問題や世代交代の声を吹き飛ばす復活の全勝優勝で、36歳の白鵬が再び存在感を示した。
敗れた照ノ富士は3連覇こそ逃したものの、場所後の横綱昇進が正式に決定。大関復帰から僅か2場所で頂点を掴み取った。

総括

優勝】 横綱・白鵬 翔(45回目)

白鵬が15戦全勝で、6場所ぶり45回目の優勝。
全勝優勝は16回目。 七月場所での優勝は8回目。

【三賞】  

 技能賞
  11日目に正代を寄り倒すなどの活躍で10勝をマークした豊昇龍(初)。
 敢闘賞
  12勝の好成績を収めた琴ノ若(初)。

なお理事会における満場一致の決定により、大関・照ノ富士が第73代横綱へ昇進。
伝達式での口上は、「不動心を心がけ、横綱の品格、力量の向上に努めます」

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